特別な気候と土壌でしか育たない、デリケートな植物、ベルガモット。ダイダイとマンダリンオレンジの交配種と推定させており、表面にはぶつぶつしたへこみがあり、形は洋ナシ型をしています。
果実は小ぶりで苦く、すっぱすぎる為、人間の食用には適さず、薬用以外には果汁は使用されません。果皮から採れる香りは、アールグレイティーの香りづけで有名であり、ナポレオン時代には香水としても人気で、主要な成分であったそうです。
精油の名前は、トルコ語で「梨の王」を意味するBegarmudiを語源とする説の他、言い伝えによる、クリストファー・コロンブスがこの木をカナリア諸島で発見して、それをスペインとイタリアに導入したことに関連付けて、イタリアのベルガモまたはスペインのベルガに因んで名付けられたともいわれてます。
ベルガモットの成分は柑橘系精油の中では珍しく、こころの落ち着きとリラックスをもたらす、酢酸リナリルを約30%含むことが特徴です。その数値は、リラックスの代表であるラベンダー精油以上であり、好き嫌いがなくエレガントな香りは、心地よい眠りのおともにもおすすめです。
ストレスからの胃痛や、逆に食欲がわかないなどの、おなかの不調に
怒りや落ち込みなどで、乱れた感情のバランスを取りたいときに
風邪が流行る季節に
マンダリンは、暑くて湿気の多い気候が好きな植物。ウンシュウミカン・タンジェリン・デコポンなどと同じ系統の植物で、原産地はインドのアッサム地方といわれいます。
交雑し変化しながら世界各地に伝わり、中国では伝統的に豊穣と幸運のシンボルとされ、旧正月に使われたり家族や友人の間でプレゼントしたりするのだそうです。
名前の由来は、その昔、中国の高級官僚たちは「マンダリン」と呼ばれており、皇帝に尊敬や忠誠の証としてこの果物が献上されていた経緯から、マンダリンという名前がついたとのことです。
マンダリンは熟す過程に寄って区別され、未完熟ものがグリーン、適度なものがイエロー、完熟のものをレッドと呼び、3種類の精油が採れます。
精油の成分構成もそれぞれ異なり、完熟したマンダリンレッドが最も癒しの効果が高いといわれています。それは、わずか0.3%前後含まれるメチルアンソラニル酢酸メチルという成分による、強い緊張緩和作用が影響していると考えられています。
また、マンダリン精油は、こどもや妊婦、体が少し弱っていると感じる人にも使用できる数少ない精油です。色も、とても鮮やかできれいな橙色をしていますので、ぜひ瓶からだけではなく、試香紙に落としたり、キャリアオイルに混ぜたりして、色味も楽しんでいただきたい精油のひとつです。
食欲不振や消化不良などのほか、精神的なおなかの不調に
頭が忙しく余裕がないと感じるときに
むくみが気になるとき
メリッサは地中海地方原産の植物で、レモンバームという名前でも知られており、和名ではコウスイハッカ、セイヨウヤマハッカと呼ばれ、レモンのような香りがしますが、シソ科の植物です。鉄分を含んだ土壌を好み、耐寒性・生命力が強く、枯れているように見えても根は生き続けます。繁殖力が非常に強く、かつては人間より長生きすると考えられていたのだそう。
メリッサはギリシャ名で、蜜蜂を意味する言葉であり、小さな白い花が蜂を引き寄せることに由来しているそうです。
上記のように、育ちやすく繁殖力が強いため、植物自体の価格は安いのですが、植物中に多量の水分が含まれるため、採油率が極端に低く、1グラムのメリッサ精油を抽出するのに、なんと7キロもの花と葉が必要なのだそうです。そのため、ローズに匹敵するような価格がついています。
歴史的な側面では、16世紀の医師であり錬金術師でもあったパラケルススは、メリッサのことを「エリクシール(不老不死の万能薬)」と呼んだそうです。
パラケルススは「医化学の祖」とも呼ばれており、自然の植物の姿形と医学を結び付けた「象形薬能論」という理論を提唱していました。その理論は、「神様は、人間が植物の治癒特性を理解できるように、植物の形態と似た臓器に効果があるよう姿形に刻印した」というものです。
その理論から推察され、メリッサのハート形の葉の形は、心臓および感情に関連付けられ、長い間、薬として利用されてきた歴史があるようです。
メリッサ精油は、レモンやハーブ調の優しい香りのように感じるのですが、奥に山椒のようにピリッとしたさわやかさを持った香りです。ブレンドすると意外と支配的になるので滴数に注意が必要です。高価な為なかなか使いにくいですが、シトラールが多く含まれるので、昆虫忌避作用が期待できます。
気持ちの高ぶりやイライラを鎮めたいときに
精神的な要因での、おなかのむかむかや吐き気があるとき
ストレス性の頭痛や咳に